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Q.

DGPSとRTKって違うんですか?その5

回答

前回までで一通りの説明を終了しました。今回は補足(蛇足?)です。

・GPSの精度について(全て1σです)
GPSの静止測量時の精度は水平3~5mm±0.5~1ppm、鉛直方向はその倍(6~10mm)ということになっています(以下同じ)
(※3mm±0.5mmというのは長時間(2時間以上)計測の場合。通常のスタティック及び短縮スタティックでは5mm±1ppm)

RTK時の精度は1cm±1~2ppm
(※1Hz(1秒に1回)のデータ出力時。2,5,10,20Hz出力のものもあるが、その場合は数cm程度まで精度が悪くなるものもあるので注意)
DGPSの場合は2m以内
(※メーカーや補正データによってはカタログ表示を、1m以内、50cm、30cm、15cm、などとしているものもある)
SGPSは10~15m


・RTKOTFの初期化時間
RTKの初期化にかかる時間はメーカーや衛星数などによりますが、30秒~2分程度となっています。ただしこれは2周波のGPSに限ります。通常、1周波のGPSではRTKOTFはできません。できるメーカーのものでも初期化時間は20分程度になります。


・DGPSについての混乱
ユーザーからのお問い合わせで、「DGPSでRTKしたいのですが」というのが年に1~2回位あります。DGPSを文字通りに理解するとわけわかりませんね。
この際なので、きっちり説明しておきます。


1996年に設立された海上DGPS利用推進協議会という組織がありました。目的は、海上での作業に於けるRTKGPSの利用の推進(啓蒙・普及を含む)でした。
通常のRTKでは、使用者が自前で固定局を設置・調整し(必要であれば測量もします)、その固定局からの補正データで作業船の位置を計測します。これ自体では特に問題ないのですが、もし多くの作業船が同じ区域で同時に作業を始めたらどうなるでしょう。
まず陸上にたくさんのGPS固定局が並ぶことになります。補正データは特定小電力無線で送信する場合が多く、また潮位計などでもこの周波数帯を利用するため混信の可能性が多くなります。

ところが海上DGPS利用推進協議会が固定局を設置した場合には、専用の周波数(と専用のデータ受信機)を利用して補正データを送ることが出来るので、全船に専用受信機を載せてしまえばこのようなことは起こりません。また、特定小電力無線(10mW)に比べて遙かに強い出力(強さは不明)なので電波障害も受けにくいということで、使用料がかかること以外は非常に便利です。
実際に関西国際空港関空や中部国際空港中空、羽田空港羽田などの規模の大きな現場では、各工事会社は自前のGPSの固定局を使わず、DGPS協議会のデータを使って作業を行いました。


ところで、この海上DGPS利用推進協議会は今書いたように、略して"DGPS協議会"と呼ばれていました(過去形ですが、今でもそう呼ぶ人がたくさんいます)。このDGPSという名前と、ディファレンシャルGPSのDGPSを混同している人が、特に海上工事に携わった人にたくさんおられるのです。

海上DGPS利用推進協議会は2005年に改組して海上GPS利用推進機構になりましたが、未だに"協議会データ"とか"協議会無線"と言う人も多いので、"DGPSデータでRTK"という人がいるのも当然かなってという気もします。

ということなので、あれっと思ったときにはよく聞き直してみてください。

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