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Q.

DGPSとRTKって違うんですか?その2

回答

前回は”違う”ということと、ディファレンシャルの基本的な考え方について説明しました。今回はその続きで、「日本国内で提供されている海上保安庁の中波ビーコンによる補正データが受信できない場所ではどうするのか」というところから。

海上保安庁の中波ビーコンデータは沿岸部と周辺海域での使用を想定してあり、全国27カ所のDGPS局から発信されていて、ほぼ全国をカバーしています。(海上保安庁のホームページにも「DGPS局から200km以内の海上(瀬戸内海等の一部を除く)」という記載があります) ということは陸上での使用は保証されていないということなので、山の中で受信不能地域があっても文句は言えません。ではどうすればよいのでしょうか。せっかくのGPSもSGPになってしまっては意味がありません。このようなときに、実は強い味方がいるのです。
「あっ、鳥だ、飛行機だ、○○○○だ」
○の中に適切な言葉を入れてください。

気象衛星ひまわりのことは皆さんご存じと思います。今はひまわり6号になっていますが、このひまわり6号からは”運輸多目的衛星”として機能拡張されて活躍しています。実はこのひまわり6号、”多目的”ということでディファレンシャルGPS用の補正データも送信しているのです。(運輸多目的衛星=Multi-functional Transport Satellite 略してMTSAT(エムティサット))
ディファレンシャルGPS受信機の中にはこの補正データを受信できるものがあるので、例え山の中で海上保安庁のビーコンが届かなくてもメートル程度での測位が可能になります。

ここまで読まれて、それなら日本の沿岸部を離れても(海上保安庁のデータが届かなくても)ディファレンシャルGPSが使えるのではないかと考えた人はおられませんか。
正解です。

MTSATは静止衛星なので地球全体のカバーはできませんが、ハワイからインドくらいまでは使えるそうです。じゃ、あと2個ほど衛星を上げると全世界がカバーできるじゃないか、という発想で(本当はMTSTが一番あとから上がったのですが)作られたのがSBAS(エスバス静止衛星型衛星航法補強システム)です。
これはアメリカ上空(WAAS)、ヨーロッパ上空(EGNOS)とアジア上空のMSAS(MTSAT Satellite-based Augmentation System)の3衛星で構成されています。このMSAS(エムサスっていいます)が名前の通り”MTSATを使用した静止衛星型衛星航法補強システム”で、ひまわり6号からディファレンシャルの補正データを送信しているのです。

こんな訳で、いまではほぼ世界中でメートル程度の測位が可能になっています。すごいことですね。

○○○○の答え:ひまわり、またはMSAS。
ということで次回はRTKについてです。

※SBAS:Satellite-based Augmentation System
WAAS:Wide Augmentation System
EGNOS:European Geostationary-Satellite Navigation Overlay Service

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