電磁波レーダー法と電磁誘導法の違い|鉄筋探査機について
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鉄筋探査機には、大きく分けて電磁波レーダー法と電磁誘導法の2種類の測定方式があります。ここでは、混同しやすい二つの方式について詳しく解説していきます。
測定したい対象や深度などによって適切な適切な鉄筋探査機を選びましょう。
鉄筋探査全般についてはこちらの記事もご覧ください:
電磁波レーダー法とは
電磁波レーダーとはマイクロ波帯の電磁波が媒体中を一定速度で直進し、異なる媒体が接する境界面で反射する性質を利用してそこまでの距離と位置を検知する技術です。電磁波レーダーを用いた検査は物体を壊すことのない非破壊検査であり、エックス線検査のような危険な放射線も使用しない為、幅広く使用されています。
電磁波レーダー法の仕組み
電磁波をアンテナからコンクリート内に放射し、コンクリート内の鉄筋や非金属管や空洞などから反射して返ってきた電磁波を受信アンテナに受信され、その電磁波が戻るまでの時間から距離を算出する方法です。
電磁波の速度に影響する「比誘電率」
電磁波をアンテナからコンクリート内に放射し、コンクリート内の鉄筋や非金属管や空洞などから反射して返ってきた電磁波を受信アンテナに受信され、その電磁波が戻るまでの時間から距離を算出する方法です。
精度と深度の関係
電磁波レーダは周波数を高くすれば分解能が高くなり高精度な検査が可能ですが、測定可能な深度が浅くなります。逆に周波数を低くすれば測定可能な深度は深くなりますが、精密検査には不向きになります。
金属、非金属の判別方法
電磁波レーダ法では、結果は山形の波形で確認をします。探知したコンクリート埋設物がコンクリートの比誘電率より高い比誘電率だった場合は上が白、下が黒の山形波形となります。逆に埋設物の比誘電率がコンクリートよりも低い場合は上が黒、下が白の山形波形となります。
例えば金属の比誘電率は∞でコンクリートより高いため、上が白、下が黒の山形波形が記録されます。空洞(空気)や非金属などは1-2ほどの比誘電率のため、上が黒、下が白の山形波形が記録されます。
電磁誘導法とは
電磁誘導法とは、電圧の変化を測定に利用した方法です。
電磁波レーダー法と異なり、空洞や塩ビ管などの測定は行えず基本的に測定対象は鉄筋のみとなりますが、比較的費用も安く簡単に測定ができるため、広く利用されています。
電磁誘導法の仕組み
試験コイルに交流電流を流すことによってできる磁場内に、試験対象物を配置する事によってその導電性材質の表面に過電流が発生します。その過電流により磁場が逆方向に誘導され電圧に変化が起こり、その変化を測定に利用しています。鉄筋などの磁性金属の場合に電磁誘導法が使用でき、鉄筋位置やかぶり測定ができます。また、機器の種類により鉄筋径の推定ができるものあります
電磁波レーダー法と電磁誘導法の特徴簡易比較表
| 機能 | 電磁波レーダー法 | 電磁誘導法 |
|---|---|---|
| 【測定対象】鉄筋 | 〇 | 〇 |
| 【測定対象】空洞・塩ビ管 | 〇 | × |
| 鉄筋径推定 | × | 〇 ※機種による |
| 測定可能深度 | 200mm~300mm前後 | 最小10mm以下、最大150mm以上程度 |
レンタル可能な鉄筋探査機を目的別にご紹介
短期間のみの利用も多い鉄筋探査機は、必要なとき、必要な期間だけ使用できるレンタルが人気です。今回は用途別におすすめ機器をご紹介しますので、是非ご検討ください。
「鉄筋・塩ビ管・空洞など」が測定可能な電磁波レーダー法の鉄筋探査機
「鉄筋のみ」の測定に最適な電磁誘導法の鉄筋探査機
電磁波レーダー法と電磁誘導法のまとめ
ここまでお読みいただきありがとうございました。改めて電磁波レーダー法と電磁誘導法の違いを整理すると、以下のようになります。
- 電磁波レーダー法は鉄筋以外にも「塩ビ管」「空洞」などコンクリートと異なる材質の対象の位置特定も可能です。
- 電磁波レーダー法は、比較的深い場所の探査にも適しています。
- 電磁波レーダー法は、測定結果が波形で表示されそれを読み解く必要があります。
- 電磁誘導法は、電圧の変化を測定に利用しており、対象は原則「鉄筋」のみです。
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測定方法は比較的簡単、かつ結果も数字として表示されるため、初めての方でも安心してご利用いただけます。
電磁波レーダー、電磁誘導それぞれの特徴を理解して、場面に応じて適切な機器を選択しましょう。
