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コンクリートの塩害とは?発生メカニズムと調査方法について

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コンクリートの塩害とは?メインバナー

コンクリート構造物に深刻な影響を与える「塩害」。特に日本では、多くのインフラが高度経済成長期に建設され老朽化が問題になる中、塩害による劣化も深刻化しています。
ここでは、その発生メカニズムや調査方法、対策などについて詳しく解説していきます。
コンクリート構造物の塩害調査が可能なレンタル機器や、その実績についてもご紹介しておりますので最後までお読みください。

コンクリートの塩害とは

塩害は、その名の通り「塩」「塩化物イオン」によってコンクリート構造物内部の鉄筋が腐食し、強度低下やひび割れなどを引き起こす現象です。
通常、コンクリートは強アルカリ性です。その環境下で鉄筋は表面に酸化物層をまとい腐食から守られています。
ここに塩化物イオンが増えると、この鉄筋表面の酸化物層(=不動態膜とも呼ばれます)が破壊され、鉄筋が腐食してしまいます。
この鉄筋の腐食により、コンクリート自体の強度低下やひび割れなどが発生してしまいます。

塩害発生のメカニズム

塩害が発生するメカニズムについて、もう少し詳しくお伝えしましょう。

鉄筋腐食の科学的プロセス

前述の通り、コンクリート内部の鉄筋は強アルカリ性(pH12~13)の環境下で酸素と結びつき、不動態膜と呼ばれるごく薄い酸化物層に覆われています。
この不動態膜により、鉄筋は腐食から守られているのです。
ところが内部に塩化物イオンが侵入して許容値を超えると、この不動態膜は破壊されてしまいます。コンクリートの中には反応に十分な水と酸素があるため、鉄筋はそこから酸化反応を引き起こして腐食してしまうのです。

塩化物イオンの侵入経路

では、この塩害の原因となる塩化物イオンは、どのようにしてコンクリートの内部に侵入してしまうのでしょうか?
塩害は海の近くなどの構造物だけに発生するというイメージを持たれがちですが、実際のところ塩害はどこでも起こりうることです。
塩化物イオンの侵入経路は、大きく分けて二つあるといわれています。

  • ①外部からの飛来によるもの
    沿岸部で海水の飛沫の付着、道路の凍結防止剤、海水や塩分を含んだ地下水など
  • ②内在する塩分によるもの
    コンクリートの硬化促進として使用される塩化ナトリウム、塩分を含んだ海砂の使用

コンクリートの劣化過程

なぜ、塩化物イオンによって鉄筋が腐食するとコンクリートが劣化につながってしまうのでしょうか?
当然のことながら、鉄筋が腐食するとそれ自体の強度が低下します。
それに加えて、鉄筋は腐食によって体積が膨張します。その圧力によってひび割れや剥離といったコンクリートの劣化につながってしまうのです。

塩害による影響

塩害による影響としては、主に構造面と経済面の2点があります。

塩害による影響|構造面

ここまで述べてきた通り、塩害によりコンクリート構造物内部の鉄筋が腐食し、コンクリート自体の劣化にもつながります。
そのため、ひとたび塩害が発生すると、構造物全体の強度や耐久性自体を大きく低下させてしまうと同時に、耐震性能や疲労強度低下を引き起こす要因にもなります。
特に沿岸部の構造物や道路構造物などでは、そのリスクが大きいといえます。

塩害による影響|経済面

塩害が発生すると、大規模な修繕が必要となります。
劣化した部分が一部であればその場所だけにとどまるケースもありますが、広範囲にわたる場合コストも時間も大幅に増加します。
更に建て替えとなると、さらに大きなコストが発生してしまいます。このように、塩害の進行は経済面でも大きな影響を与えるのです。

塩害の調査方法

塩害を最小限に食い止めるには、正しく調査し早めの対策を行うことが重要です。
塩害の調査方法には以下のようなものがあります。

目視での点検

目視で構造物のひび割れやさびなどを確認していきます。
目視でわかるレベルで影響が出ていれば、塩害が既に進んでいる可能性が高いといえます。

鉄筋腐食測定

また鉄筋腐食度合いそのものを測るという方法もあります。
腐食が予想される鉄筋に直接接触して、腐食度合いなどを測定する方法です。
ただしこれは、すでに腐食が発生しているものを測定するということと、非破壊検査ではないということに注意が必要です。

塩化物イオン濃度測定

予防保全的に塩害を防ぐためには、コンクリートに塩化物イオンがどの程度含まれているかなどの状況を計測することも重要です。
コア採取して科学的に分析する という方法や、表面の塩分を測定する方法などありますが
X線などを用いてコンクリートに含まれる塩化物イオンの量をその場で測定するような技術も注目されています。

塩害への対策

では、塩害への対策としてはどのようなものがあるでしょうか?ここで代表的な対策についていくつかご紹介していきます。

表面保護工法

表面保護工法は、塩害の原因となる塩化物イオンの外部からの侵入を防ぐための工法です。
塗料などで表面を覆う方法や、特殊な薬剤をしみこませる方法などがあります。

かぶり厚を増やす

塩害は、コンクリートに塩化物イオンが侵入して鉄筋が腐食することによっておこるため、シンプルにコンクリートの厚み自体を増やすということも対策として有効です。

電気防食工法

電気防食工法は、電気的に鉄筋の腐食を食い止める方法です。シート上の陽極を貼り付けて電気を流し、防食処理を行う方法などがあります。

レンタル可能!塩害調査ができる測定器

ここまで、塩害によるコンクリート構造物の劣化の原因や対策についてご説明してきました。
塩害を完全に防ぐことは難しいとしても、被害を最小限にとどめるには、被害が大きくなる前に予防保全的に点検や検査をしていくことが重要です。

ここからは、実際の塩害調査に実績のある、レンタル可能な測定器とその事例についてご紹介していきます。

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