騒音とは?騒音の測定方法や単位、各種規制についても詳しく解説
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- 騒音とは
- 騒音の測定方法について
- 騒音測定の単位について
- 騒音の評価方法
- 騒音の基準と規制
騒音とは、騒がしくうるさい音を指します。日常生活の中で「うるさいな」と感じたことはありませんか?その「うるささ」は「騒音(そうおん)」と呼ばれ、私たちの健康や快適な生活に大きな影響を与えることがあります。騒音は私たちの生活環境に広く存在し、その感じ方は人によって異なるため、住まいや健康に対する影響を正しく把握することが大切です。例えば、同じ音量でも人によっては騒音と感じたり、あまり気にならないと感じたりすることがあります。単にうるさいと感じるだけでなく、長時間の騒音にさらされると聴覚への影響やストレスによる健康被害を引き起こす場合もあります。こうしたトラブルを防ぎ、安心して暮らすためには、測定をはじめとした正確なデータに基づく騒音対策が必要です。
この記事では、騒音とは何か、どのように測定されるのか、また法律や基準についてもわかりやすく解説します。身近な環境の騒音を客観的に知ることで、生活の質や周囲との関係をより良好に保ちましょう。
騒音とは
まずは騒音の基本的な定義と、なぜその音を測る必要があるのかを理解しておきましょう。
騒音とは何か
騒音とは、私たちの耳に不快に感じられる音、または望ましくない音のことを指します。これは必ずしも「大きな音」だけを意味するわけではなく、例えば深夜の静けさの中で聞こえるわずかな物音も、状況によっては「騒音」と感じられることがあります。
音は空気の振動によって伝わり、単位は「デシベル(dB)」で表されます。騒音は、この音の大きさと人間の感じ方によって判断されるため、同じ音でも時間帯や場所、状況によって感じ方が異なるのです。
なぜ騒音を測定する必要がある?
騒音が引き起こす影響はさまざまです。例えば、睡眠障害、ストレスの増加、集中力の低下など、健康や生活の質を脅かすことがあります。特に工場や交通量の多い地域、建設現場などでは、適切に騒音を管理することが法律で求められています。そのため、騒音を正確に測定し、状況に応じた対策を講じることが重要となります。
騒音の測定方法について
騒音の大きさを客観的に把握するための代表的な測定方法と、その際に気をつけたいポイントを紹介します。
騒音計の基本的な使い方
騒音を測るには「騒音計」という機器を使います。以下が基本的な使い方です。
騒音源との距離や周囲の反射音などを考慮し、代表的な場所を選びます。
【事例】
騒音源そのものの測定→騒音源から1m以内(※安全を確保できる範囲で近接)
作業者の被ばく評価→作業者の耳の高さ付近(1.2~1.5m)
周辺環境への影響→確認敷地境界線、近隣住宅の敷地側で、耳の高さ(1.2~1.5m)
一般的には「A特性」と「FAST(高速応答)」モードを使用します。A特性は人間の聴覚に近い感度で音を評価する方法です。
一定時間測定を行い、平均値や最大値などを記録します。
騒音計はマイクロホンで音を拾い、その大きさを数値として表示する機器です。製品には簡易型から精密型まであり、測定できる周波数範囲や精度に差があります。基本的な手順としては、騒音源の方向に騒音計のマイクを向け、測定環境に合わせてA特性やC特性などの設定を行い、計測データを記録します。目的に応じた騒音計を選ぶことで、より信頼性の高い測定結果を得られます。
騒音測定の際の注意事項
- 風切り音の対策:屋外ではマイクに風防を付ける。
- 測定時の静寂保持:測定者自身の動きや話し声も結果に影響を与えるため、静かに。
- 測定条件の記録:時間帯、天候、測定場所の環境なども記録しておくと、データの信頼性が高まります。
測定する際には、周囲の状況や天候、時間帯などが測定値に影響を与える可能性を考慮する必要があります。例えば、屋外の場合、風などによるノイズがマイクに入ってしまうと実際よりも高い値が出ることがあります。さらに、壁や障害物の位置関係によって音の反射や減衰も生じるため、複数の測定ポイントを設定して統合的に評価するとより正確です。測定条件を適切に管理することで、得られる結果の再現性や信頼性が高まります。
騒音測定の単位について
騒音を客観的に比較するためには、音量を数値化する単位の理解が欠かせません。
基本的な騒音の単位
騒音はデシベル(dB)という単位で表します。人間の耳は非常に広い範囲の音圧を知覚できるため、対数スケールであるデシベルの利用が一般的です。例えば、0dBはほぼ無音、140dB程度で人間の可聴範囲の限界に近いとされ、55~60dBを超えると不快に感じる人が増加するといわれています。さらに、複数の騒音源がある場合でも、デシベルは単純に加算されるわけではなく、総合的に評価する必要があります。
以下のような目安があります。
音の種類 | 音の大きさ |
---|---|
ささやき声 | 約30dB |
普通の会話 | 約60dB |
車のクラクション | 約90dB |
工事現場 | 約100dB |
騒音の評価方法
音量だけでなく、人が感じるうるささを正確に評価する指標について確認してみましょう。
騒音の評価指標
騒音を評価する際には、単に「瞬間的な大きさ」だけでなく、「時間平均」や「環境への影響度合い」などを考慮します。代表的な評価指標は以下の通りです。
- 等価騒音レベル(Leq):一定時間内の平均的な騒音レベル
- 最大音圧レベル(Lmax):観測期間中の最大騒音レベル
- 昼夜平均音圧レベル(Ldn):昼間と夜間の騒音レベルを考慮し、とくに夜間の騒音を重視して評価する指標
- 統計的騒音レベル(Lx):観測時間のうち、騒音レベルがx%の時間を超えたときの音圧レベルです。
たとえば、
L5:観測時間のうち、最も大きい5%の騒音レベル(騒音が頻繁に高くなる場所の把握に有効)
L10:最も大きい10%の騒音レベル(交通騒音などでよく使用される)
これらの指標は、一時的な騒音の発生頻度や強さの傾向をつかむのに役立ちます。
騒音の基準と規制
日本では、騒音に関する基準や規制がいくつかの法律で定められています。
主な法律
- 環境基本法:騒音の環境基準を定める法律
- 騒音規制法:工場・建設作業・車両などの騒音を規制
- 建築基準法:建築物における遮音性能の規定など
多くの地域では、騒音を規制する法律や自治体の条例が整備されています。たとえば、住宅地では昼間に55dB以下、夜間に45dB以下が望ましいとされています(地域や用途地域によって異なります)。代表的なものに騒音規制法や公害防止条例などがあり、地域によって細かな基準値が異なる場合があります。また、一定の音量を超える工事やイベントは事前に届け出が必要となることもあるため、法令を確認しながら対策を講じることが大切です。騒音対策と規制基準の両方を正しく理解し、適切な対応を行うことで、近隣トラブルや健康被害の予防につなげられます。
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